体外受精で不妊治療を行うデメリット

経済的な負担がかかる

体外受精は他の不妊治療に比べて費用が高額です。1回の治療費は数十万円に及び、複数回の施術が必要になるケースも多いため、経済的な負担が増大します。近年は保険適用の範囲が拡大されましたが、それでも自己負担額が大きくなることも。検査や薬剤の費用もかかるため、トータルの費用がさらに増加します。

治療が長期化するほど費用がかさむため、金銭的な計画をしっかり立てることが重要です。経済的な負担を軽減するためには、補助制度や助成金の活用を検討し、無理のない範囲で治療を続けることが大切です。

身体的負担がかかる

体外受精の過程では、ホルモン治療や採卵が必要です。ホルモン治療によって卵巣が過剰に刺激されると、卵巣過剰刺激症候群（OHSS）を引き起こす可能性があります。症状としては、腹痛、腹部膨満感、倦怠感などがあり、重症化すると血栓症のリスクも高まります。

採卵時には腟から針を挿入するため、出血や痛みが伴うことがあり、身体的な負担が大きい治療法です。胚移植後にもホルモン補充を続ける必要がある場合があり、副作用として頭痛や吐き気、情緒不安定になることもあります。これらの身体的負担を軽減するためには、適切なケアと医師との相談が欠かせません。

成功率が100%ではない

体外受精の成功率は、年齢や健康状態によって大きく異なります。特に女性の年齢が高くなると妊娠率は低下し、流産のリスクも上昇します。一般的に、35歳以下の成功率は比較的高いものの、40歳を超えると成功率は急激に低下※。そのため、治療を重ねても妊娠に至らない場合があり、精神的にも経済的にも負担が大きくなる可能性があります。

体外受精は高度な医療技術を用いるものの、すべてのカップルにとって成功するわけではなく、複数回試みても結果が出ないケースもあるため、治療を続けるかどうかはパートナーと慎重に話し合って決めましょう。

精神的ストレス

体外受精の治療過程では、ホルモン治療による気分の変動や、結果を待つ不安が精神的なストレスとなります。何度試みても成功しない場合、失望感や焦燥感が増し、夫婦関係にも影響を与えることも。周囲からの無理解な言葉やプレッシャーが精神的な負担を助長することもあります。

こうしたストレスを軽減するためには、カウンセリングやサポートの活用が有効です。家族や友人と話をすることで気持ちが軽くなることもありますし、不妊治療専門の心理カウンセリングを受けることで前向きに治療に取り組むことができる場合もあります。

多胎妊娠のリスク

体外受精では複数の胚を移植することがあるため、双子や三つ子などの多胎妊娠の可能性が高くなります。多胎妊娠は母体にとって身体的負担が大きく、妊娠高血圧症候群や早産のリスクが高まります。

胎児にとっても低出生体重や発育遅延の可能性があり、長期的な健康リスクを抱えることも。そのため、近年では単一胚移植が推奨されています。多胎妊娠の場合、出産方法として帝王切開が選ばれることが多くなり、術後の回復期間が長くなることも考慮する必要があります。

時間的な負担

体外受精の治療には頻繁な通院が必要です。ホルモン治療のための診察や注射、採卵、胚移植など、複数のステップを踏む必要があり、1周期の治療だけでも長期間を要することがあります。そのため、仕事や家庭生活に支障をきたすことがあり、スケジュール調整が必要です。

仕事をしている女性にとっては、治療と仕事の両立が大きな課題となります。治療のタイミングが決まっているため、急な通院が必要になることもあり、職場の理解やサポートが重要になります。

身体的合併症の可能性

体外受精に伴う医療処置には、出血や感染のリスクが伴います。採卵の際には、膣壁や卵巣からの出血、腸管や膀胱の損傷が起こる可能性があります。

麻酔を使用する場合には、アレルギー反応や血圧低下などのリスクも考慮しなければなりません。卵巣が腫大することで卵巣茎捻転が発生し、緊急手術が必要になるケースもあります。こうしたリスクを抑えるためには、経験豊富な医療機関を選び、適切なケアを受けることが重要です。

成功後のリスク

体外受精で妊娠した場合、一部の研究では自然妊娠と比べて早産や低出生体重児のリスクが高まる可能性が指摘されており、ホルモン治療の影響や、胚移植の方法による影響が考えられます。多胎妊娠の場合、胎児の健康リスクが高まる傾向にあり、妊娠後も定期的な検査や慎重な管理が必要になります。

出生後の赤ちゃんの成長を注意深く見守ることが求められ、必要に応じて医療機関のサポートを受けることが大切です。体外受精は多くの夫婦にとって希望となる治療法ですが、その一方で経済的・身体的・精神的な負担が伴うため、治療を検討する際には慎重な判断が求められます。