横浜市で体外受精(IVF)を検討するご夫婦が急増しています。その背景にあるのは、結婚・出産の時期が後ろ倒しになる晩婚化と、2022年4月から体外受精が保険適用されたことで経済的ハードルが大幅に下がったことの二つです。
日本産科婦人科学会の統計によれば、2021年の国内ART治療周期数は約49万8,000周期(※)と過去最多を記録し、神奈川県も全国上位の実施件数を占めます。人口と就業機会が集中する横浜市には夜間・土日診療を行う専門クリニックが集まり、「通いやすさ × 高い専門性」を理由に近隣県からも患者が訪れています。
本記事では、こうした横浜市の最新動向をデータで検証し、主要クリニックの実績や費用相場、支援制度までを網羅的に解説します。後悔しないクリニック選びの第一歩として、ぜひ参考にしてください。
全国的に体外受精(IVF)へのニーズは高まり続けており、2021年には国内のART治療周期数が49万8,140周期と過去最多を記録しました。年齢別では39歳が最も多く、以降40歳、41歳と高年齢層が続いています(※1)。結果として出生児の約10人に1人がART由来という状況です。
追い風となったのが2022年4月からの保険適用です。厚生労働省によると、適用初年度(2022年度)の不妊治療医療費は約895億円(※2)に達し、経済的ハードルが大幅に下がったことで若年層の早期受診が加速しました。
こうした流れを受け、神奈川県内でもART実施件数は東京に次ぐ水準を維持しています。特に横浜市には、神奈川レディースクリニックやみなとみらい夢クリニックなどIVF専門クリニックが11院以上集積し、夜間・土日診療体制を整える施設も多いのが特徴です。
実績面でもポジティブな変化が見られます。たとえば神奈川レディースクリニックでは、凍結融解胚移植の妊娠率が2022年の43.0%から2023年は46.3%へ上昇(※3)し、全国平均を上回る水準を維持しています。
行政面では、保険適用に伴い横浜市独自の治療費助成は終了しましたが、市の「不妊・不育相談」窓口では婦人科医や看護師による無料相談を継続しており、心理的負担軽減を図っています。
これらのデータから、「通いやすさ」「実績」「保険適用による費用軽減」の三拍子がそろった横浜市は、今後も体外受精を検討するカップルの主要な選択肢として注目を集め続けると予想されます。
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(2025年6月19日時点)
横浜駅東口徒歩2分という抜群のアクセスと最新タイムラプスインキュベーターを備えた不妊治療専門クリニック。2024年1月〜2025年4月累計の臨床妊娠率は56.9%、着床率65.4%と全国平均を大幅に上回ります。通勤途中でも通いやすい19時までの外来と、年齢別の詳細データ公開が特徴です。
所在地 | 〒220-0011 横浜市西区高島2-13-2 横浜駅前共同ビル6階 |
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診療時間 | 10:00-13:00/15:00-19:00(日曜休診・祝日は17:00まで) |
公開実績 | 臨床妊娠率56.9%・着床率65.4%(2024/1-2025/4) |
費用目安 | 融解胚移植 自己負担36,000円〜(保険診療) |
主な特徴 | 年齢別成績公開/駅徒歩2分/タイムラプス全症例 |
東神奈川駅前に位置し、平日19:30・土日祝も診療。2023年速報では凍結胚妊娠率46.3%、新鮮胚妊娠率27.3%と前年から上昇し、妊娠率(新鮮+凍結)も44.9%を記録しています。タイムラプス培養を全胚に標準導入し、保険診療と自費の併用が可能です。
所在地 | 横浜市神奈川区西神奈川1-1-1-5 ARTVISTA横浜ビル |
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診療時間 | 8:30-19:00(平日)/土日祝も診療 |
公開実績 | 凍結胚46.3%・新鮮胚27.3%(2023年) |
主な特徴 | 土日祝診療/タイムラプス全症例/個別カウンセリング |
全国20院以上を展開する大型グループの横浜拠点。平日22時、土日祝20時まで診療し、検査・治療を定額パッケージ化。院単独の年次データは未公開ですが、神戸三宮院2018-2020平均妊娠率46%をグループ指標として掲示しています。
所在地 | 横浜駅西口徒歩5分(南12番出口) |
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診療時間 | 平日8:00-22:00/土日祝8:00-20:00 |
公開実績 | グループ平均妊娠率46%(2018-2020 神戸院) |
主な特徴 | 22時まで外来/定額制プラン/オンライン診療 |
2000年開院以来、累積37,199件の妊娠実績を持つ横浜北部の中核施設。内視鏡手術を併設し、あざみ野本院と二子玉川分院の2拠点体制で地域をカバーします。
所在地 | 横浜市青葉区あざみ野1-5-1(本院) |
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診療時間 | 9:00-18:00(日祝休) |
公開実績 | 累積妊娠数37,199件(2000.9-2025.3) |
主な特徴 | 累積症例3.7万超/子宮鏡日帰り手術/2拠点診療 |
桜木町駅徒歩4分。2023年は採卵1,000件超・臨床妊娠率53.0%を記録。がん生殖医療認定施設として凍結保存やプレコンセプションケアにも対応し、土曜・祝日も16:30まで外来を開設しています。
所在地 | 横浜市中区桜木町1-1-8 日石横浜ビル4階 |
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診療時間 | 10:00-13:00/15:00-19:00(日休・土祝は最終受付16:30) |
公開実績 | 臨床妊娠率53.0%・採卵1,172件(2023年) |
主な特徴 | がん生殖認定/採卵1k件/年/年齢別成績公開 |
自然周期・低刺激法を中心に2008年〜2023年で累積妊娠11,887件を達成。培養士13名によるラボ体制と年中無休9:00-19:00の診療で、家族全体を支えるサポートが充実しています。
所在地 | 横浜市西区みなとみらい3-6-3 MMパークビル |
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診療時間 | 9:00-19:00(年中無休) |
公開実績 | 累積妊娠者数11,887名(2008-2023) |
主な特徴 | 自然/低刺激主体/培養士13名/キッズルーム併設 |
体外受精の成績を語る際にまず押さえたいのが、妊娠率(clinical pregnancy rate)と出産率(live birth rate)の違いです。妊娠率は胎嚢確認までを指標にするのが一般的で、流産を経た後の出産率とは必ずギャップが生じます。
たとえば2021年ARTデータブックでは、全国の凍結胚移植あたり成績が
と約 10 ポイント開いています。横浜市の各クリニックも例外ではなく、公開データに「妊娠率」しか書かれていない場合は、実際に出産まで至る割合は 7〜8 割程度に下がると理解しておくのが安全です。
「妊娠率○%」という数字を単独で比較すると、一見ハイパフォーマンスのクリニックが際立ちます。しかし症例数が 500 周期と 5,000 周期では 母集団の年齢分布がまったく異なるのが普通です。
横浜市内でも、採卵 1,000 周期超の施設(メディカルパークみなとみらい、神奈川レディースクリニックなど)は、幅広い年齢層を受け入れつつ全国平均前後の妊娠率を維持している点に注目しましょう。一方、症例数の少ない施設が妊娠率 60%超を示している場合は、年齢層や治療方針(良好胚のみ移植など)を確認して数字の背景を読み解く必要があります。
クリニックが公開する年齢別グラフは、35 歳・40 歳付近で急降下していないかが重要な判断材料になります。
急激な落ち込みがないグラフは、ラボの品質管理や凍結胚の選別に一定の再現性がある裏付けと考えられます。また、同じ施設でも自然周期主体か高刺激主体かで分布が変わるため、治療方針も併せて確認しましょう。
横浜市には年1,000周期を超える大規模院から自然周期専門の小規模院まで多様な選択肢があります。
単純に「妊娠率が高い・低い」で比較するのではなく、
という3つの観点でデータを読み解くと、各クリニックの数字の裏側が見えてきます。正しい読み方を押さえたうえで、自分たちのライフプランや通院環境に合った医療機関を選択しましょう。
2022年4月の制度改正で、採卵・胚培養・胚移植など体外受精の基本プロセスがすべて保険適用(自己負担3割)になりました。採卵・移植を1周期行った場合の標準的な自己負担は以下が目安です。
項目 | 患者負担(3割) |
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採卵料 | 9,600円 + 卵子数に応じた加算 |
受精料 | 一般IVF 9,600円 顕微授精(ICSI)は個数加算 |
胚培養・凍結 | 個数に応じて 6,000〜30,000円 |
胚移植 | 12,000円前後 |
排卵誘発薬・検査 | 30,000〜50,000円 |
合計目安 | 約120,000〜170,000円/1周期 |
先進医療(タイムラプス培養、SEET法など)は自費加算ですが、保険診療と併用可能です。
1ヵ月の自己負担が一定額を超えた場合、差額が払い戻されるのが高額療養費制度です。たとえば70歳未満・年収370〜770万円世帯なら、外来と入院を合算して自己負担上限は57,600円(多数回該当で44,400円)となります。:contentReference[oaicite:1]{index=1}
採卵・移植・投薬が同月内に集中するケースでは、実質負担が半額近くまで圧縮できることもあります。事前に「限度額適用認定証」を取得しておくと窓口支払いを抑えられるのでおすすめです。
年間(1〜12月)で世帯合算10万円超の医療費を支払った場合、確定申告により医療費控除が受けられます。不妊治療の交通費も対象になるため、遠方通院が多い方は領収書と交通系IC明細を保管しておきましょう。
保険適用開始以降、横浜市は治療費助成を終了していますが、相談・啓発事業は継続中です。
いずれも費用は無料。治療を始めるか迷っている段階でも参加できるため、制度や費用の疑問はまず相談窓口を活用しましょう。
保険適用により体外受精の1周期あたり自己負担は約12〜17万円が標準ラインになりました。高額療養費制度や医療費控除を組み合わせれば、さらに家計負担を軽減できます。治療費の助成は終了したものの、横浜市の専門相談や講座を利用すれば、心理的・情報的サポートは無償で受けられます。数字と制度を味方に、不安なく治療計画を立てていきましょう。
体外受精のクリニック選びで大切なのは、ご夫婦の状況に合った治療を受けられることです。
横浜にあるクリニック14院※の口コミや実績を分析し、お二人の状況に寄り添った3院を調査しました。
40~41歳の妊娠率が、2025年1月時点で開示されている最新(2022年度)の全国平均の妊娠率が約30%(※1)に対して、約50%(※2)と平均を上回る実績があります。
卵子への負担を軽減する培養技術も活用し、妊娠が難しい患者様へのサポートに注力しています。
保育士常駐のキッズルームを設けており、「親子待合室」としても利用できます。
通常の待合室とは扉で区切られているため、待ち時間も周囲の視線を気にせず、お子さまと一緒にいられます。通院回数が多い体外受精でも安心して通えるクリニックです。
不妊の原因に多くみられる男性不妊症の治療実績(※3)において神奈川県内1位(※4)を誇る病院です。一般男性の約7人に1人(※5)にみられる「精索静脈瘤」、約100人に1人(※5)に発症すると言われる「無精子症」まで、他院では対応が難しい男性不妊治療を受けられます。
※妊娠率(臨床妊娠):移植後、エコーにより胚が子宮内に確認された割合を指します
※1参照元:【PDF】日本産科婦人科学会ARTデータブック※2022年時点。2024年のデータはまだ公開されておりません(https://www.jsog.or.jp/activity/art/2022_JSOG-ART.pdf)
※2参照元:メディカルパーク ベイフロント横浜公式※2024/1/1~2024/9/30時点(https://medicalpark-bf-yokohama.com/chiryo_jisseki/)
※3参照元:「男性生殖器疾患」の治療実績数を、便宜上“男性不妊症”のランキングとしています。この件数には、他の病気の治療も含まれることがあります。
※4参照元:caloo(神奈川県の男性不妊症の治療実績)※DPC対象病院・準備病院・出来高算定病院の統計 (2022年4月〜2023年3月退院患者)(https://caloo.jp/dpc/disease/746/14)
※5参照元:横浜市立大学附属 市民総合医療センター公式(2025年1月時点)(https://www.yokohama-cu.ac.jp/urahp/section/generative/danseifunin.html)
※6 お電話での問い合わせは月曜・水曜・金曜のみ8:00~18:30、火曜・土曜8:00~16:30、木曜8:00~13:00、日曜8:00~13:00 (指定患者様のみ)、祝8:00~15:00