体外受精では、採卵に向けて卵巣刺激を行いながら、超音波検査などで卵胞の数や大きさを確認します。その際、「注射をしているのに卵胞が大きくならない」「思っていたより卵胞が少ない」と言われ、不安になる方もいるでしょう。
卵胞の育ち方には個人差があり、同じ人でも周期によって反応が異なることがあります。また、AMHが低い場合など、卵巣刺激をしても発育する卵胞数が少なくなることがあります。
一方で、「卵胞が少ない=採卵できない」「卵胞が育ちにくい=妊娠できない」と単純に判断することはできません。
体外受精では、AMHやAFC、FSHなどの検査結果に加え、実際に卵巣刺激を行ったときに何個の卵胞がどのように発育したかを確認しながら、採卵まで進むか、薬剤や刺激方法を調整するか、次周期の治療方針をどうするかを検討します。
この記事では、体外受精で卵胞が育たない・育ちにくい場合に考えられること、AMHや年齢との関係、卵胞が1個・2個しか育たない場合の採卵の考え方、次の周期へどのようにつなげるのかを解説します。
なお、卵巣刺激に使用する薬剤や用量、採卵を行うかどうかは身体の状態によって異なります。薬の量などを自己判断で変更せず、受診先の指示に従ってください。
卵胞とは、卵巣の中にある卵子を取り囲む袋状の構造です。
月経周期が始まると複数の卵胞が発育し、その中から卵胞が成長していきます。自然な月経周期では通常そのうちの一つが優位に育って排卵へ向かいます。
一方、体外受精では複数の卵子を採卵することを目的として、排卵誘発剤などを用いて複数の卵胞を育てる「卵巣刺激」を行う場合があります。
卵巣刺激を開始した後は、経腟超音波検査などで卵巣を確認します。
主に確認するのは、以下のような項目です。
また、必要に応じてE2(エストラジオール)やLH、P4(プロゲステロン)などの血液検査も行い、超音波所見と合わせながら卵巣の反応を確認します。
体外受精では、卵胞の大きさだけではなく、超音波検査とホルモン検査などを組み合わせながら採卵に向けた治療を進めます。
患者さんが「卵胞が育たない」と感じる状態には、いくつかのパターンがあります。
単に卵胞の大きさだけの問題とは限りません。
卵巣刺激を始めても、確認できる卵胞が1個や2個など、想定していたより少ない場合があります。
もともとその周期に発育し始めている卵胞数が少ない場合や、卵巣予備能が低下している場合などでは、卵巣刺激を行っても発育する卵胞数が少なくなることがあります。
また、左右の卵巣が必ず同じように反応するわけではなく、片側では複数の卵胞が発育していても、反対側ではほとんど発育がみられないこともあります。
卵胞自体は確認できているものの、卵巣刺激を続けても思ったように大きくならないことがあります。
卵胞の発育速度には個人差があるため、すぐに「育たない」と判断するわけではありません。
超音波検査やホルモン値を確認しながら、刺激を継続するのか、薬剤を調整するのかなどを検討します。
複数の卵胞が確認できても、すべてが同じ速度で大きくなるとは限りません。
一部の卵胞が先に大きくなり、ほかの卵胞が小さいまま残ることもあります。
採卵時期を考える際には、大きく育った卵胞だけでなく、小さい卵胞の発育状況やホルモン値なども含めて判断します。
「すべての卵胞を同じ大きさに育てること」が体外受精の目標ではありません。
卵胞が思うように発育しない場合、ひとつの原因だけで説明できるとは限りません。
年齢や卵巣予備能、その周期の卵胞数、卵巣刺激への反応などを総合的に確認します。
卵巣予備能とは、卵巣内に残っている卵胞の量を考えるための概念です。
卵巣予備能を評価する際には、AMH(抗ミュラー管ホルモン)やAFC(胞状卵胞数)、FSHなどが参考になります。
AMHが低い、AFCが少ないといった場合は、卵巣刺激をしても発育する卵胞数が少なくなる可能性があります。
ただし、AMHの数値だけを見て今回何個の卵胞が育つかを正確に予測できるわけではありません。
実際には卵巣刺激を行いながら、超音波検査で卵巣の反応を確認します。
卵巣内の卵胞数は、加齢とともに減少します。
そのため、年齢が上がるにつれて卵巣刺激を行った際に発育する卵胞数が少なくなることがあります。
ただし、同じ年齢でも卵巣予備能や卵巣刺激への反応には個人差があります。
「○歳だから卵胞が育たない」と年齢だけで判断するのではなく、AMHやAFC、実際の治療への反応なども含めて確認します。
卵巣の状態は毎周期まったく同じとは限りません。
月経開始時に確認できる胞状卵胞数が、ある周期では多く、別の周期では少なく見えることもあります。
そのため、今回の卵巣刺激で発育する卵胞が少なかったからといって、次回も必ず同じ数になるとは限りません。
過去にも複数回採卵している場合は、1周期だけではなく、これまでの刺激方法と実際の反応を比較することが重要です。
体外受精では、卵胞を育てるためにゴナドトロピン製剤などを使用する場合があります。
ただし、同じ薬や同じ用量を使用しても、卵巣の反応は患者さんによって異なります。
そのため、治療開始時には年齢やAMH、AFCなどを参考に刺激方法を決め、その後は実際の卵胞発育を確認しながら必要に応じて治療を調整します。
「薬が弱いから卵胞が育たない」と単純に考えることはできません。
月経不順や排卵障害などがある場合は、卵胞発育に関連するホルモンの状態を確認することがあります。
FSH、LH、E2、PRL、TSHなどを測定し、視床下部・下垂体・卵巣などに関係する内分泌異常がないかを調べることがあります。
ただし、卵胞が育ちにくいという理由だけで特定の疾患を判断することはできません。
必要な検査については、月経周期や症状なども踏まえて医師が判断します。
AMHが低いと言われた方にとって、「卵胞が育たないのはAMHが低いから?」という疑問は大きいでしょう。
AMHは卵巣予備能を考える指標のひとつで、卵巣刺激に対してどの程度反応する可能性があるかを考える際にも利用されます。
AMHが低い場合、卵巣刺激を行っても発育する卵胞数が少なくなる可能性があります。
ただし、AMHが低いからといって、卵胞が一切育たないという意味ではありません。
また、AMHは「今回の周期に必ず何個の卵胞が育つか」を正確に当てる検査でもありません。
実際の治療では、
などを合わせて評価します。
卵胞が少ない場合、「1個しかないなら採卵しても意味がないのでは?」と考える方もいるでしょう。
しかし、採卵へ進むかどうかを卵胞数だけで決めることはできません。
判断する際には、以下のような情報を確認します。
卵胞が少なくても採卵へ進む場合がある一方、今周期の治療を中止し、次周期に別の方法で治療することを検討する場合もあります。
「1個なら中止」「2個あれば採卵」といった全国共通の固定ルールがあるわけではありません。
今回採卵するメリットと身体的・経済的な負担を含めて医師と相談しましょう。
卵巣刺激中の超音波検査では、大きな卵胞と小さな卵胞が同時に見えることがあります。
小さかった卵胞が、その後の刺激で発育する場合もあります。
一方で、すべての小さい卵胞が採卵対象となる大きさまで育つとは限りません。
また、卵胞ごとの発育差が大きい場合には、先に育った卵胞と小さい卵胞の両方を考慮しながら採卵のタイミングを決める必要があります。
そのため、1回の超音波検査で小さい卵胞があったとしても、その時点だけで最終的な採卵数を決めつけることはできません。
数日後の超音波やホルモン検査によって発育を確認します。
卵巣刺激を続けても卵胞の発育が少ない場合には、その周期の治療を中止することがあります。
ただし、卵胞が少ないから必ず周期中止になるわけではありません。
たとえば、
などの場合には、周期を中止して次回の治療方針を検討することがあります。
一方、卵胞数が少なくても採卵へ進む場合があります。
どちらが適切かは、卵胞数だけでなく年齢、卵巣予備能、治療歴などによって異なります。
卵胞が思うように発育していないと、「注射を増やせばもっと卵胞が育つのでは?」と考えるかもしれません。
しかし、卵巣刺激薬の量を増やせば、必ず発育する卵胞数が増えるとは限りません。
もともとその周期に刺激へ反応できる卵胞数や卵巣予備能には個人差があります。
また、薬剤の増量には効果だけでなく、副作用や卵巣への過剰な反応など安全性も考慮する必要があります。
そのため、卵巣刺激中は、
などを確認しながら、必要に応じて薬剤量を調整します。
処方されている注射や内服薬の量を自己判断で増減しないようにしましょう。
今回の周期で卵胞が思うように育たなかった場合でも、その結果は次回の治療を考えるための重要な情報になります。
次周期の治療を考える際は、単に「卵胞が少なかった」という結果だけではなく、治療全体を振り返ります。
たとえば、以下のような項目です。
AMHなどは治療前に卵巣反応を予測するための材料になりますが、実際にどの刺激法にどう反応したかという治療結果そのものも、次の治療を考える重要な情報です。
前回の反応によっては、次周期に卵巣刺激の方法を見直す場合があります。
体外受精の卵巣刺激には、使用する薬剤や治療スケジュールの異なる複数の方法があります。
次回も同じ刺激法を用いることもあれば、薬剤や用量、刺激方法などを変更することもあります。
ただし、「低AMHならこの刺激法」「卵胞が少なかったら必ずこの方法」と一律に決まるわけではありません。
年齢や卵巣予備能、これまでの反応を踏まえて個別に検討します。
次周期の治療を開始するときには、月経初期に卵巣の状態を確認することがあります。
AFCやホルモン値などを確認し、その周期にどのような刺激を行うか検討します。
前回の結果だけで「次も卵胞が育たない」と決めつけず、次周期の状態も確認しながら治療方針を考えましょう。
卵胞が少ない、育ちにくいと言われると、「食事を変えれば増える?」「サプリを飲めば卵胞が育つ?」と考える方もいるでしょう。
バランスのよい食事や十分な睡眠、禁煙など、健康を維持するための生活習慣は大切です。
しかし、特定の食品やサプリメント、運動などによって、体外受精で発育する卵胞数が必ず増えると考えることはできません。
また、「AMHを上げる」「卵胞を増やす」とうたう情報だけを頼りに、必要な治療を自己判断で延期しないようにしましょう。
生活習慣だけで卵巣予備能や卵胞数を自由に変えられると考えるのではなく、現在の卵巣の状態に合わせて治療方針を考えることが重要です。
超音波検査で卵胞が複数育っていると言われると、「その数だけ卵子が採れる」と思うかもしれません。
しかし、超音波検査で確認しているのは卵胞という袋状の構造であり、卵子そのものを直接見ているわけではありません。
そのため、卵胞が確認できていても、採卵時に必ず卵子を回収できるとは限りません。
また、卵子が採れた場合でも、すべてが受精に適した成熟卵とは限りません。
体外受精では、
と段階的に結果を確認します。
そのため、「卵胞が何個見えたか」と「最終的に何個の胚が得られるか」は同じ数字にはなりません。
卵巣刺激中に卵胞が少ない・育ちにくいと言われた場合は、結果だけではなく、その評価と今後の治療方針を確認しましょう。
「何個しかない」という結果だけでなく、「なぜそう評価していて、次に何をするのか」まで確認すると、今後の治療方針を理解しやすくなります。
横浜で体外受精を受けるクリニックを選ぶ際は、採卵数の多さだけを比較するのではなく、卵巣刺激への反応をどのように評価し、治療方針へ反映しているかも確認したいポイントです。
AMHは卵巣予備能を考える重要な指標のひとつですが、AMHだけですべての治療方針を決めるものではありません。
クリニックを選ぶ際は、
などを総合的に見て治療方針を説明してくれるか確認しましょう。
卵巣刺激では、薬を処方して採卵日まで待つだけではありません。
超音波検査で卵胞の発育を確認し、必要に応じてホルモン検査を行いながら治療を進めます。
卵胞の育ち方に応じて、薬剤量や今後のスケジュールについてどのような説明を受けられるか確認しましょう。
一度の採卵で卵胞が思ったように育たなかった場合、その結果を次の治療へ生かすことが重要です。
「今回は卵胞が少なかった」で終わるのではなく、
まで説明を受けられると、治療方針を理解しやすくなります。
A. 卵巣予備能、年齢、その周期に発育する卵胞数、卵巣刺激への反応など複数の要因が関係します。AMHやAFC、ホルモン値、超音波検査、これまでの採卵結果などを合わせて評価します。
A. AMHが低い場合は、卵巣刺激によって発育する卵胞数が少なくなる可能性があります。ただし、AMHが低いから卵胞がまったく育たないという意味ではありません。実際の反応は超音波検査などで確認します。
A. 採卵するかどうかは卵胞数だけでは決まりません。年齢、卵胞の発育状況、ホルモン値、AMH、過去の治療歴や今後の治療計画などを踏まえて判断します。少数の卵胞でも採卵へ進む場合があります。
A. 卵胞の発育速度には差があり、小さかった卵胞がその後発育する場合があります。ただし、すべての小さい卵胞が採卵できる状態まで育つわけではありません。超音波検査などで経過を確認します。
A. 卵巣刺激薬の量を増やせば、必ず発育卵胞数が増えるとは限りません。卵巣刺激中は超音波検査やホルモン検査で反応を確認し、安全性も考慮しながら必要に応じて薬剤量を調整します。自己判断で薬の量を変更しないでください。
A. 必ず同じ結果になるとは限りません。次周期のAFCやホルモン状態、前回の刺激方法に対する実際の反応などを確認し、必要に応じて卵巣刺激の方法を見直します。
A. 必ずではありません。超音波検査で確認しているのは卵胞であり、卵子そのものではありません。実際に卵子が回収できたかどうかは採卵後に確認します。また、回収した卵子がすべて成熟卵とは限りません。
体外受精では、卵巣刺激を行いながら超音波検査などで卵胞の数や発育を確認します。
卵胞が思ったように育たない背景には、卵巣予備能、年齢、その周期に発育する卵胞数、刺激に対する個人差など、さまざまな要素が関係します。
AMHが低い場合は発育する卵胞数が少なくなる可能性がありますが、「AMHが低い=卵胞がまったく育たない」「卵胞が少ない=採卵できない」という意味ではありません。
また、卵胞が1個・2個しか育っていない場合でも採卵へ進むことがあり、採卵するかどうかは卵胞数だけではなく、年齢、ホルモン値、過去の治療結果、今後の治療方針などを踏まえて判断します。
薬剤量を増やせば必ず卵胞数が増えるわけでもありません。卵巣刺激中は超音波やホルモン検査によって実際の反応を確認しながら、安全性も考慮して治療を調整します。
今回卵胞が育ちにくかったとしても、その結果は次回の治療方針を考えるための重要な情報になります。
「何個しか育たなかったか」だけではなく、「どの刺激法に卵巣がどう反応したのか」を振り返り、次の採卵方針につなげることが大切です。
卵胞が育ちにくい場合のクリニック選びでは、AMHだけで判断するのではなく、AFCやホルモン検査、超音波による卵胞発育、過去の採卵結果まで確認しながら、卵巣刺激の方法を個別に検討してもらえるかも比較したいポイントです。
当メディア「yokoniiruyo」では、横浜にある体外受精対応クリニックを調査し、「40代から体外受精を検討している」「第二子不妊で子どもと一緒に通いたい」「男性不妊の専門治療まで相談したい」など、ご夫婦の状況に合わせた体外受精クリニックおすすめ3選を紹介しています。検査から卵巣刺激・採卵まで相談できるクリニックを探している方は、治療先を考える参考としてぜひご覧ください。
体外受精のクリニック選びで大切なのは、ご夫婦の状況に合った治療を受けられることです。
横浜にあるクリニック14院※の口コミや実績を分析し、お二人の状況に寄り添った3院を調査しました。
40~41歳の妊娠率が、2025年1月時点で開示されている最新(2022年度)の全国平均の妊娠率が約30%(※1)に対して、約50%(※2)と平均を上回る実績があります。
卵子への負担を軽減する培養技術も活用し、妊娠が難しい患者様へのサポートに注力しています。
保育士常駐のキッズルームを設けており、「親子待合室」としても利用できます。
通常の待合室とは扉で区切られているため、待ち時間も周囲の視線を気にせず、お子さまと一緒にいられます。通院回数が多い体外受精でも安心して通えるクリニックです。
不妊の原因に多くみられる男性不妊症の治療実績(※3)において神奈川県内1位(※4)を誇る病院です。一般男性の約7人に1人(※5)にみられる「精索静脈瘤」、約100人に1人(※5)に発症すると言われる「無精子症」まで、他院では対応が難しい男性不妊治療を受けられます。
※妊娠率(臨床妊娠):移植後、エコーにより胚が子宮内に確認された割合を指します
※1参照元:【PDF】日本産科婦人科学会ARTデータブック※2022年時点。2024年のデータはまだ公開されておりません(https://www.jsog.or.jp/activity/art/2022_JSOG-ART.pdf)
※2参照元:メディカルパーク ベイフロント横浜公式※2024/1/1~2024/9/30時点(https://medicalpark-bf-yokohama.com/chiryo_jisseki/)
※3参照元:「男性生殖器疾患」の治療実績数を、便宜上“男性不妊症”のランキングとしています。この件数には、他の病気の治療も含まれることがあります。
※4参照元:caloo(神奈川県の男性不妊症の治療実績)※DPC対象病院・準備病院・出来高算定病院の統計 (2022年4月〜2023年3月退院患者)(https://caloo.jp/dpc/disease/746/14)
※5参照元:横浜市立大学附属 市民総合医療センター公式(2025年1月時点)(https://www.yokohama-cu.ac.jp/urahp/section/generative/danseifunin.html)
※6 お電話での問い合わせは月曜・水曜・金曜のみ8:00~18:30、火曜・土曜8:00~16:30、木曜8:00~13:00、日曜8:00~13:00 (指定患者様のみ)、祝8:00~15:00