二段階胚移植とは、1回の移植周期のなかで初期胚と胚盤胞という発育段階の異なる2つの胚を、時間差で子宮内に移植する方法です。先に移植した初期胚が子宮内膜に働きかけ、着床に向けた準備を促した状態で胚盤胞を移植することで、着床率の向上を目指します。
胚と子宮内膜のあいだで行われるこうしたやりとりは「クロストーク」と呼ばれ、二段階胚移植はこの仕組みを治療に応用したものです。良好な胚を移植しても妊娠に至らないケースの一因として、子宮内膜側の受け入れ準備が十分に整っていない可能性が指摘されており、その課題に対するアプローチのひとつとして位置づけられています。
厚生労働省の告示では「二段階胚移植術」という名称で先進医療Aに位置づけられており、2022年5月1日から先進医療として運用されています。
二段階胚移植は、次のようなスケジュールで進められます。
1回の移植周期のなかで2回子宮内に胚を戻すため、通院や処置の回数は通常の胚移植より増えます。凍結融解胚を用いる場合は、内膜の状態に合わせて移植日を調整していきます。
なお、初期胚と胚盤胞のどちらを凍結胚でまかなうか、ホルモン補充周期と自然周期のどちらで行うかといった細かい進め方は医療機関によって異なります。スケジュールの組み方は仕事や生活への影響にも関わるため、事前に確認しておくと安心です。
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二段階胚移植はすべての人が受けられる治療ではなく、先進医療として実施する場合の適応は次のように定められています。
つまり、良好な胚を複数回移植しても妊娠に至らず、さらにSEET法を行っても結果が得られなかった場合に検討される治療ということになります。初回の胚移植から選択できる治療ではない点に注意が必要です。
また、同じ周期に2個の胚を移植することになるため、年齢や既往歴、多胎妊娠となった場合のリスクを踏まえたうえで適応が判断されます。持病がある方や過去に帝王切開・子宮手術を受けた方は、担当医とよく相談したうえで検討してください。
二段階胚移植には、次のような利点があると考えられています。
特に、胚の質には問題がないと考えられるのに着床しないケースでは、子宮内膜側へのアプローチとして検討されることがあります。ただし、有効性については現在も検証が続けられている段階であり、誰にでも効果が見込める治療ではありません。
二段階胚移植を検討する際は、次の点も理解しておく必要があります。
なかでも重視されるのが多胎妊娠のリスクです。双胎以上の妊娠は、早産や妊娠高血圧症候群などのリスクが単胎妊娠より高くなることが知られており、移植する胚は原則として1個とする考え方が国内では広く共有されています。二段階胚移植を選択する場合は、母体と赤ちゃんの双方への影響を踏まえた説明を受けたうえで判断することが大切です。
また、胚盤胞まで育つ胚が得られるかどうかは採卵の結果に左右されます。治療計画どおりに進まない可能性も想定し、代替となる移植方法についてもあらかじめ確認しておくとよいでしょう。
二段階胚移植としばしば比較されるのがSEET法(子宮内膜刺激術)です。どちらも子宮内膜に刺激を与えてから胚盤胞を移植するという考え方は共通していますが、方法が異なります。
SEET法は移植する胚が1個のため、多胎妊娠のリスクを避けながら内膜への刺激が期待できる点が特徴です。先進医療の適応上も、二段階胚移植はSEET法を実施したうえで妊娠に至らなかった場合に検討される位置づけとなっています。
二段階胚移植は先進医療に位置づけられているため、その部分の費用は保険の対象外となり、全額自己負担となります。一方で、採卵や培養、胚移植といった保険診療の部分とは併用が認められており、治療全体が自費になるわけではありません。
費用は医療機関によって差があり、たとえば都内のクリニックでは新鮮胚移植で75,000円、凍結融解胚移植で120,000円といった料金設定が公開されています。どの範囲が自費となるかの取り扱いも医療機関ごとに異なるため、治療開始前に見積もりを確認しておきましょう。
なお、加入している民間医療保険に先進医療特約が付いている場合は、給付の対象となることがあります。契約内容を確認しておくと、費用面の見通しが立てやすくなります。
神奈川県内では、保険診療と併用して受けた先進医療の費用を助成する制度を設けている市町村があります。
助成の有無や上限額、申請期限は自治体ごとに異なるため、お住まいの市区町村の窓口やホームページで最新の情報を確認してください。
着床がうまくいかない背景には、胚側の要因と子宮側の要因の両方が考えられます。二段階胚移植は子宮内膜へのアプローチのひとつですが、まずは何が妊娠を妨げているのかを見極めることが、治療の遠回りを避けるうえで重要です。
たとえば、培養器から取り出さずに胚の発育を連続的に観察するタイムラプス培養は、より着床が期待できる胚を選ぶ手がかりになります。また、子宮筋腫やポリープ、子宮内膜症といった器質的な要因が隠れている場合は、検査や手術によって子宮の状態を整えることが妊娠につながることもあります。
どの方法が適しているかは一人ひとり異なります。これまでの治療経過や検査結果をもとに、担当医と選択肢を整理したうえで判断していきましょう。
A. 1回の移植周期のなかで、受精後2〜3日目の初期胚と、その2〜3日後に胚盤胞を移植する方法です。先に移植した初期胚が子宮内膜に働きかけ、着床の準備が整った状態で胚盤胞を移植することで、着床率の向上を目指します。
A. いいえ、対象は限られています。先進医療として実施する場合は、これまで反復して着床・妊娠に至っておらず、かつSEET法(子宮内膜刺激術)を実施した方が対象と定められています。初回の胚移植から選べる治療ではありません。
A. 二段階胚移植術は先進医療Aに位置づけられており、その部分の費用は全額自己負担となります。ただし採卵や培養、胚移植といった保険診療との併用は認められているため、治療全体が自費になるわけではありません。
A. 医療機関によって差がありますが、新鮮胚移植で7万円台、凍結融解胚移植で12万円程度といった料金設定が公開されています。自費となる範囲の扱いも医療機関ごとに異なるため、治療開始前に見積もりを確認しておくと安心です。
A. 2個の胚を移植するため、多胎妊娠となる可能性があります。双胎以上の妊娠は早産などのリスクが高まることから、国内では移植する胚を原則1個とする考え方が広く共有されています。リスクの説明を受けたうえで判断することが大切です。
A. SEET法は培養液で内膜を刺激したあと胚盤胞を1個移植する方法で、多胎妊娠のリスクを避けられます。先進医療の適応上も、まずSEET法を行い、それでも妊娠に至らなかった場合に二段階胚移植を検討する流れとなっています。
二段階胚移植は、初期胚と胚盤胞を時間差で移植することで着床率の向上を目指す先進医療です。良好な胚を繰り返し移植しても妊娠に至らず、SEET法でも結果が得られなかった場合に検討される治療であり、初回から選択できるものではありません。
先進医療のため費用は全額自己負担となりますが、保険診療との併用は可能です。民間医療保険の先進医療特約や、お住まいの自治体の助成制度を確認しておくと、費用面の負担を抑えられる場合があります。
一方で、2個の胚を移植することによる多胎妊娠のリスクや、胚盤胞が得られず実施できない可能性もあります。メリットとデメリットの双方を理解したうえで検討することが重要です。
着床がうまくいかない原因は人によって異なります。これまでの治療経過をふまえ、胚の選別や子宮の状態の評価も含めて担当医と相談しながら、自分に合った治療方針を選んでいくことが、妊娠への近道となります。
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卵子への負担を軽減する培養技術も活用し、妊娠が難しい患者様へのサポートに注力しています。
保育士常駐のキッズルームを設けており、「親子待合室」としても利用できます。
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※妊娠率(臨床妊娠):移植後、エコーにより胚が子宮内に確認された割合を指します
※1参照元:【PDF】日本産科婦人科学会ARTデータブック※2022年時点。2024年のデータはまだ公開されておりません(https://www.jsog.or.jp/activity/art/2022_JSOG-ART.pdf)
※2参照元:メディカルパーク ベイフロント横浜公式※2024/1/1~2024/9/30時点(https://medicalpark-bf-yokohama.com/chiryo_jisseki/)
※3参照元:「男性生殖器疾患」の治療実績数を、便宜上“男性不妊症”のランキングとしています。この件数には、他の病気の治療も含まれることがあります。
※4参照元:caloo(神奈川県の男性不妊症の治療実績)※DPC対象病院・準備病院・出来高算定病院の統計 (2022年4月〜2023年3月退院患者)(https://caloo.jp/dpc/disease/746/14)
※5参照元:横浜市立大学附属 市民総合医療センター公式(2025年1月時点)(https://www.yokohama-cu.ac.jp/urahp/section/generative/danseifunin.html)
※6 お電話での問い合わせは月曜・水曜・金曜のみ8:00~18:30、火曜・土曜8:00~16:30、木曜8:00~13:00、日曜8:00~13:00 (指定患者様のみ)、祝8:00~15:00