体外受精では、卵巣刺激によって卵胞を育て、超音波検査で発育を確認したうえで採卵を行います。しかし、採卵まで順調に進んだように見えても、「卵子が取れなかった」「採卵数が0個だった」「空胞だった」と説明されることがあります。
卵胞が複数見えていたのに卵子が取れなければ、「卵胞の中には最初から卵子がなかったの?」「次回も採卵できない?」「もう体外受精は難しい?」と不安になる方もいるでしょう。
ただし、超音波検査で確認しているのは卵子そのものではなく「卵胞」です。卵胞が確認できていても、同じ数の卵子が必ず回収できるわけではありません。
また、卵子を回収できなかった背景には、卵巣予備能や卵胞の発育だけでなく、卵子の成熟、採卵前に行うトリガーの作用、採卵のタイミングなど、複数の要因が関係している場合があります。
この記事では、採卵しても卵子が取れない場合や「空胞」と言われた場合に考えられること、AMHや年齢との関係、採卵0個だった周期の振り返り方、次回の採卵で確認したいポイントについて解説します。
体外受精では、卵巣刺激中に経腟超音波検査を行い、卵巣内にある卵胞の数や大きさを確認します。
卵胞が十分に発育したと判断されると、卵子の最終成熟を促すための処置を行い、その後採卵へ進みます。
しかし、超音波で見えていた卵胞数と、実際に回収できる卵子数が一致するとは限りません。
卵胞とは、卵巣内にある卵子を取り囲む袋状の構造です。
超音波検査ではこの卵胞を確認できますが、卵胞の中にある卵子そのものを直接見ているわけではありません。
採卵では、超音波で卵胞の位置を確認しながら針を進め、卵胞液を吸引します。その卵胞液を培養室で確認し、卵子が回収できたかを調べます。
そのため、たとえば超音波で10個の卵胞が確認できていたとしても、必ず10個の卵子が採れるわけではありません。
「卵胞数」と「採卵できる卵子数」は別の数字として考える必要があります。
卵子が回収できた場合も、そのすべてが受精に適した成熟状態になっているとは限りません。
採卵後は、回収できた卵子の数だけではなく、卵子の成熟状態も確認します。
体外受精では、
というように、段階ごとに結果を確認します。
採卵後に「空胞だった」と説明されることがあります。
一般には、採卵で卵胞液を吸引したものの、その中から卵子を確認・回収できなかった状態について「空胞」と表現されることがあります。
ただし、「空胞」という言葉から「卵胞の中には最初から卵子が入っていなかった」と考えるのは適切ではありません。
卵子を回収できなかった背景としては、さまざまな可能性があります。
などが考えられます。
そのため、採卵で卵子が見つからなかった場合も、「卵胞の中が完全に空だった」と単純に判断するものではありません。
卵巣刺激によって卵胞が発育し、採卵まで進んだにもかかわらず卵子を回収できない状態について、「Empty Follicle Syndrome(EFS)」という名称が用いられることがあります。
日本語では「空胞症候群」などと呼ばれることがあります。
EFSは、見かけ上は十分に卵胞が発育しているにもかかわらず、採卵で卵子を回収できない状態として報告されています。
ただし、採卵できた卵子数が予想より少なかっただけで、直ちにEFSと判断するものではありません。
EFS自体も比較的まれな状態で、原因や定義については現在も検討が続けられています。
EFSについては、採卵前に行うトリガーの投与や作用などで説明できるケースがあることが知られています。
こうしたケースは、研究上「false EFS」と分類されることがあります。
たとえば、
といった要因が関係する場合があります。
ただし、トリガーに関する問題が疑われるからといって、患者本人の投与ミスだけが原因とは限りません。薬剤の作用や吸収、治療スケジュールなども含めて医療機関が確認します。
一方で、卵胞発育やホルモン反応、トリガーなどに明らかな問題が確認できないにもかかわらず、卵子を回収できないケースも報告されています。
こうしたケースは「genuine EFS」と呼ばれることがあります。
ただし、その原因については十分に解明されておらず、卵胞形成や卵子成熟に関連する複数の要因が検討されています。
採卵0個だったからといって、すべてのケースをEFSと考えるわけではありません。
採卵で卵子を回収できなかった場合は、「空胞だった」という結果だけを見るのではなく、卵巣刺激から採卵までの各段階を振り返ることが重要です。
もともと採卵対象となる卵胞が1個や2個など少ない場合は、卵子を回収できる機会自体も少なくなります。
体外受精ではAMHやAFCなどから卵巣予備能を評価し、卵巣刺激への反応を予測します。
AMHやAFCが低い場合は、刺激を行っても発育する卵胞が少なくなり、採卵できる卵子数も少なくなる可能性があります。
ただし、卵胞数が少ないことと「空胞」は同じ意味ではありません。
採卵するためには、卵胞を大きくするだけでなく、その中にある卵子が最終的な成熟過程を進むことも重要です。
卵胞の大きさと卵子の成熟状態は完全に一致するものではありません。
超音波では十分な大きさに見えたとしても、卵子の成熟状態によっては回収やその後の受精に影響する場合があります。
採卵前には、卵子の最終成熟を促すための「トリガー」を行います。
治療方法によって、hCG製剤やGnRHアゴニストなどが使用されます。
トリガーは採卵前の重要な工程であり、指示された方法・時刻で行う必要があります。
採卵で卵子が回収できなかった場合には、
などを確認する場合があります。
ただし、自分の判断で次回のトリガー量や投与時間を変更してはいけません。医療機関の指示に従ってください。
採卵は、トリガーによって卵子の最終成熟を促した後、決められたタイミングで行います。
採卵が早すぎれば卵子の成熟が十分でない可能性があり、反対に遅すぎれば排卵との関係を考慮する必要があります。
ただし、すべての患者に「○時間なら必ず卵子が採れる」というわけではありません。
使用したトリガーや治療方法などを踏まえて医師が採卵時間を決定します。
卵子を回収できない背景として、卵巣予備能や卵胞形成、卵子成熟などが関係する場合もあります。
特に採卵できない状態を繰り返す場合には、単なる偶然や1周期だけの反応として扱わず、これまでの治療経過を含めて評価することがあります。
一部の非常にまれな反復例では遺伝的な要因なども研究されていますが、採卵0個だった一般的なケースで、直ちに遺伝的要因があると考えるものではありません。
AMHが低い方の場合、「AMHが低いから空胞になったのでは?」と考えることがあるかもしれません。
しかし、AMHが低い=空胞になる、という関係ではありません。
AMHは主に、卵巣内の卵胞数や卵巣刺激に対する反応を考えるための指標です。
AMHが低い場合は、卵巣刺激で発育する卵胞数や採卵できる卵子数が少なくなる可能性があります。
一方、「見えている卵胞から卵子を回収できるか」を直接予測する検査ではありません。
つまり、AMHが低い場合に主に問題となるのは、
「採卵できる可能性のある卵子の母数が少なくなること」
であり、「育った卵胞が必ず空胞になる」という意味ではありません。
女性の卵巣内にある卵胞数は、年齢とともに減少していきます。
そのため、年齢が上がるにつれて、体外受精で卵巣刺激を行っても発育する卵胞数や採卵数が少なくなる傾向があります。
ただし、同じ年齢でもAMHやAFC、卵巣刺激に対する反応には個人差があります。
年齢だけを理由に、
と判断することはできません。
年齢と卵巣予備能、過去の採卵結果などを合わせて治療方針を考えます。
採卵を行ったものの卵子を1個も回収できなかった場合、その周期は体外受精・顕微授精へ進める卵子がありません。
そのため、その周期については受精・胚培養・胚移植へ進むことはできません。
採卵まで薬剤や通院を重ねてきた後に「0個」という結果を聞けば、大きなショックを受ける方もいるでしょう。
しかし、そこで重要なのは、今回卵子を回収できなかった理由として何が考えられるのかを振り返ることです。
次の治療方針を考える際には、たとえば以下のような点を確認します。
こうした情報を整理すると、次回の採卵で見直せるポイントが見つかる場合があります。
採卵0個だったからといって、次回も必ず卵子が取れないとは限りません。
原因として何が考えられるかによって、次周期の治療方針は異なります。
まずは、前回の卵巣刺激で卵巣がどのように反応したのかを確認します。
発育した卵胞数自体が少なかった場合には、
などについて、次周期に変更が必要か検討する場合があります。
ただし、薬剤量を増やせば必ず採卵数が増えるわけではありません。
年齢やAMH、AFC、実際の卵巣反応などを踏まえて個別に考えます。
卵胞は十分に発育していたものの卵子を回収できなかった場合には、採卵前のトリガーについて振り返る場合があります。
確認する内容として、
などがあります。
医師が必要と判断すれば、次回はトリガー方法や採卵までのスケジュールなどを見直す場合があります。
複数の方法を組み合わせる「デュアルトリガー」などが検討されるケースもありますが、すべての患者に適しているわけではなく、使用すれば必ず卵子が採れるというものでもありません。
AMHやAFCは治療開始前に卵巣反応を予測するための情報ですが、一度採卵を行えば、さらに具体的な情報が得られます。
たとえば、
という実際の結果です。
検査値による「予測」だけではなく、実際の採卵結果を次の治療に生かすことが重要です。
1回の採卵で卵子が回収できなかった場合、「次も同じ結果になるのでは」と心配になるかもしれません。
しかし、1回採卵できなかったからといって、次回も必ず同じ結果になるわけではありません。
たとえば、トリガーの投与や作用など修正できる可能性のある要因が確認できた場合は、次周期に治療方法を見直すことがあります。
一方、明確な原因を特定できない場合や、卵巣機能・卵子成熟などが関係すると考えられる場合には、同じ結果を繰り返す可能性についても考えながら治療方針を検討します。
重要なのは「空胞だった」という言葉だけで判断せず、今回の採卵ではどの段階まで順調で、どの部分に原因の可能性があると考えられているのかを確認することです。
複数回採卵を行っても卵子を回収できない場合は、同じ治療をそのまま繰り返す前に、これまでの治療経過を整理することが重要です。
以下の流れを一つずつ振り返ります。
どこまで想定どおり進み、どこに問題の可能性があるのかを確認します。
採卵できない状態を繰り返している場合や、現在の説明だけでは今後の治療方針を判断しにくい場合は、別の生殖医療施設へ相談することも選択肢です。
セカンドオピニオンや転院を検討する場合は、
などが分かる資料を用意すると、これまでの治療経過を相談しやすくなります。
採卵後に卵子が回収できなかった場合は、結果だけでなく、その原因についてどのように評価しているのかを確認しましょう。
「空胞でした」で終わらず、「今回なぜ回収できなかったと考えているのか」「次は何を変えるのか」まで確認することが、次の治療を考えるうえで重要です。
横浜で体外受精を受けるクリニックを選ぶ際は、採卵数や妊娠実績だけではなく、思うような結果が得られなかったときにどのような振り返りを行うかも確認したいポイントです。
採卵結果が0個だった場合、結果だけを伝えられても次に何をすればよいのか判断できません。
クリニックを選ぶ際は、
などを振り返り、原因として何が考えられるかを説明してもらえるか確認しましょう。
採卵できなかった場合は、次回も同じ方法を行うのか、治療方法を変更するのかが重要になります。
たとえば、
などについて、変更する場合も変更しない場合も、その理由を説明してもらえるか確認しましょう。
採卵後は、回収した卵子を培養室で確認します。
卵子が回収できたか、どのような成熟状態だったかという情報は、その後の治療を考える重要な材料です。
医師による卵巣刺激・採卵の情報と、胚培養士が確認した卵子の状態が共有され、次回の治療方針へ反映されているかも確認したいポイントです。
A. あります。超音波検査で確認しているのは卵胞であり、卵子そのものではありません。卵胞数と実際に採卵で回収できる卵子数は必ずしも一致しません。
A. 必ずしもそうとは限りません。卵子の成熟状態、トリガーの作用、採卵時の回収など複数の要因が関係している可能性があります。「空胞=最初から卵子が存在しなかった」と単純に判断することはできません。
A. あります。採卵対象となる卵胞が少ない場合や、卵胞が育っていても卵子を回収できなかった場合などに、採卵数が0個となることがあります。
A. AMHが低いから空胞になるとは限りません。AMHは主に卵巣予備能や卵巣刺激後の採卵数を考える指標です。低値の場合は採卵できる卵子数が少なくなる可能性がありますが、空胞を直接予測する検査ではありません。
A. 最終成熟を促すトリガーが十分に作用しなかった場合などに、卵子を回収できないことがあります。採卵0個だった場合には、使用したトリガー、投与方法や時刻、採卵までの経過などを確認することがあります。
A. 必ずしもそうではありません。採卵できなかった原因や卵巣予備能、次周期の卵胞数、刺激方法、トリガーなどによって結果が変わる可能性があります。今回の治療経過を振り返ったうえで次回の方針を検討します。
A. 卵巣刺激への反応、卵胞発育、ホルモン値、トリガー、採卵までのスケジュールなどを改めて確認することが重要です。必要に応じて治療方法の見直しや、別の生殖医療施設へのセカンドオピニオンを検討することもできます。
体外受精では、超音波で複数の卵胞が確認できていても、その数と同じだけの卵子を必ず採卵できるわけではありません。
超音波で確認しているのは卵胞であり、卵子そのものではないためです。
また、「空胞だった」と説明された場合も、最初から卵胞内に卵子が存在しなかったと単純に判断することはできません。
卵子を回収できなかった背景には、
など、複数の可能性があります。
AMHが低い場合は採卵できる卵子数が少なくなる可能性がありますが、「AMHが低い=空胞になる」という意味ではありません。
さらに、1回の採卵で卵子が取れなかったからといって、次回も必ず0個になるとは限りません。
採卵できなかった場合に重要なのは、「0個だった」という結果だけを見るのではなく、刺激開始から卵胞発育、トリガー、採卵までのどの段階が想定どおりで、どこに原因の可能性があるのかを振り返ることです。
そのうえで、卵巣刺激法やトリガー方法、採卵までのスケジュールなど、次回見直せる部分があるかを医師と確認し、次の治療方針へつなげましょう。
採卵で思うように卵子を回収できなかった場合のクリニック選びでは、採卵数だけでなく、卵胞発育やホルモン値、トリガー、採卵結果を振り返り、次回の刺激方法や採卵方針まで具体的に説明してもらえるかも確認したいポイントです。
当メディア「yokoniiruyo」では、横浜にある体外受精対応クリニックを調査し、「40代から体外受精を検討している」「第二子不妊で子どもと一緒に通いたい」「男性不妊の専門治療まで相談したい」など、ご夫婦の状況に合わせた体外受精クリニックおすすめ3選を紹介しています。卵巣刺激から採卵・受精・胚移植まで相談できるクリニックを探している方は、治療先を考える参考としてぜひご覧ください。
体外受精のクリニック選びで大切なのは、ご夫婦の状況に合った治療を受けられることです。
横浜にあるクリニック14院※の口コミや実績を分析し、お二人の状況に寄り添った3院を調査しました。
40~41歳の妊娠率が、2025年1月時点で開示されている最新(2022年度)の全国平均の妊娠率が約30%(※1)に対して、約50%(※2)と平均を上回る実績があります。
卵子への負担を軽減する培養技術も活用し、妊娠が難しい患者様へのサポートに注力しています。
保育士常駐のキッズルームを設けており、「親子待合室」としても利用できます。
通常の待合室とは扉で区切られているため、待ち時間も周囲の視線を気にせず、お子さまと一緒にいられます。通院回数が多い体外受精でも安心して通えるクリニックです。
不妊の原因に多くみられる男性不妊症の治療実績(※3)において神奈川県内1位(※4)を誇る病院です。一般男性の約7人に1人(※5)にみられる「精索静脈瘤」、約100人に1人(※5)に発症すると言われる「無精子症」まで、他院では対応が難しい男性不妊治療を受けられます。
※妊娠率(臨床妊娠):移植後、エコーにより胚が子宮内に確認された割合を指します
※1参照元:【PDF】日本産科婦人科学会ARTデータブック※2022年時点。2024年のデータはまだ公開されておりません(https://www.jsog.or.jp/activity/art/2022_JSOG-ART.pdf)
※2参照元:メディカルパーク ベイフロント横浜公式※2024/1/1~2024/9/30時点(https://medicalpark-bf-yokohama.com/chiryo_jisseki/)
※3参照元:「男性生殖器疾患」の治療実績数を、便宜上“男性不妊症”のランキングとしています。この件数には、他の病気の治療も含まれることがあります。
※4参照元:caloo(神奈川県の男性不妊症の治療実績)※DPC対象病院・準備病院・出来高算定病院の統計 (2022年4月〜2023年3月退院患者)(https://caloo.jp/dpc/disease/746/14)
※5参照元:横浜市立大学附属 市民総合医療センター公式(2025年1月時点)(https://www.yokohama-cu.ac.jp/urahp/section/generative/danseifunin.html)
※6 お電話での問い合わせは月曜・水曜・金曜のみ8:00~18:30、火曜・土曜8:00~16:30、木曜8:00~13:00、日曜8:00~13:00 (指定患者様のみ)、祝8:00~15:00